糖質制限不要 断食不要 リバウンドしない健康的なダイエット方法
糖質制限したくない人、断食をしたくない人の健康的なダイエット方法はどのような方法でしょうか?
■はじめに
今回のコラムは、次のような人にはぜひ読んでいただきたい内容になっています。
❶「糖質制限しないでダイエットしたい」
❷「厳しい食事制限をしないでダイエットしたい」
❸「断食・ファスティングをしないでダイエットしたい」
❹「ハードな運動をしないでダイエットしたい」
❺「リバウンドしにくいダイエットがいい」
❻「○○を食べたらやせる」「1日5分○○をすればやせる」の様なダイエット法は胡散臭いと感じる
❼ダイエットして、かつ健康になりたい
どんな人にダイエット指導されるのかは大変重要です。
そのため、先に自身の自己紹介もしておきます。
自身は、上記❹のハードな運動はたまにしますが、糖質制限も断食もファスティングも厳しい食事制限もしたこともないアラフィフ医師です。現在の体型は下の通りです。
身長177㎝、体重72㎏、BMI23.0、体脂肪率11%
筋トレをあまりしない割には筋肉量も同年代では多い
方です。普段、服や白衣を着ている自身の姿しか見ていない患者さんがこの画像を見ると意外に思われるかもしれません。筋トレをあまりしないのは、後半に動画で紹介しますが、他の運動の方が筋トレよりも好きだからです(筋トレ好きな人を否定しているのではありません)。
■注意‼
※上記❶~❼よりも以下の①②が目的の人は、このコラムは参考程度に読んでください(決して①②の人を否定しているのではありません)。
①運動しないでダイエットしたい
②筋肉モリモリにしたい
①の、もし運動しないでダイエットしたい場合は、
糖質制限か断食・ファスティングなどが必須になります。
これを徹底して実行すれば短期間で効果が確実に出ます。欠点は、やめてしまうとリバウンドするリスクが高くなることです。また、この場合は自身のような体型ではなくほっそりとして体脂肪率も低いような体型になることが多いです。
糖質制限ダイエットや断食の方法はネット上に多くあり、また本もたくさんあるので、情報収集するのに困ることはないと思います。
また、
②の筋肉モリモリにしたいことが目的の場合は、自身がすすめる糖質摂取量(後述)では多すぎます。また自身がすすめる有酸素運動(後述)もしない方が良く、筋トレなどの無酸素運動を中心とした方が良いです。この場合の食事配分や運動法は、ボディビルダーなどに教わると良いでしょう。
自身のような、
「ほっそり体型と筋肉モリモリ体型の中間体型で体脂肪率を低くしたい」
という場合は是非コラムの内容や本の内容を参考にしてください。糖質制限や断食の様に短期間でダイエット効果を期待するのは難しいかもしれませんが、成功すればリバウンドしにくいので是非参考にしてください。
今回のコラムは長文なので、後半の「太る原因」「食事について」「運動の仕方」だけを参考にしていただいてもかまいません。
■真のダイエットとは?
ダイエットに対する自身の考え方も説明しておきます。
自身が考えるダイエットの意味は、やせること(だけ)ではなく、
脂肪を減らして、かつ健康な体になること
です。
見た目ばかりを気にしていて、
「スタイルをよくすること」
「スリムになること」
「マッチョになること」
を重視している人が多いと思います。
もしこのような目的ならば、糖質制限や断食・ファスティングなどをするのは良いと思いますし、タンパク質を大量に摂取して筋トレを趣味にするのも良いと思います。
■見た目は後からついてくる
自身は糖質制限も断食もしたこともなく、食生活で気をつけているのは栄養バランスと全体量のみです。
運動は有酸素運動中心で、筋トレは少しです。そのような長年の習慣の結果の自身の体型が前出の通りなのです。体型は意識せず、健康を意識した生活習慣により、なるようになった体型なのです。細すぎず、筋肉モリモリすぎない体型だと思います。
もし筋肉をつけることが趣味になったら、(自身の極める性格からして)筋肉量はもっともっと増えて一桁の体脂肪率にできると思います。逆に糖質制限や断食・ファスティングをしたら、脂肪と筋肉の両方が減ったようなスリムな体型になると思います。
その2つの中間の体型を維持しているのです。
筋肉をつけることが趣味ではない、糖質制限や断食(ファスティング)はしない、食事はしっかり摂取する、運動は有酸素運動中心に無酸素運動もする。
このような習慣を長年続けることを患者さんに説明し、本でも説明しています。
■継続は力なり
短期間で簡単にやせられるダイエットは、健康を損ねるリスクがあることを十分に考えた上で実行する必要があります。
健康になることを考えると、良い生活習慣は短期間だけでなく継続しなければなりません。
結局
「継続は力なり」ということで、続けることが大切なのです。
実際に、
楽にやせた人がリバウンドしているのを聞いたことがある人も多いでしょう。
やせるだけが目的なら、
糖質制限するのも良いし
1日1食か2食にしても良いし
・・・
でも、
長期間そのようなことを続けられる人はなかなかいないのではないでしょうか。
しっかり3食食べて、良い生活習慣をしていれば必ずやせます。健康維持もできます。
やせられない人は生活習慣を見直してみましょう。
偏食、欠食する食事習慣はすすめません。
規則的な3食の食事
栄養バランスが良く適量摂取する食事
適度な運動
1日1食が健康に良いとか、糖質はほとんどとらない方が健康に良いとか、
子供のころにそういうことを教わった人はいないでしょう。
でも大人になったら、1日1食又は2食が健康に良いとか、糖質はとらない方が健康に良いというような、子供のころに絶対に教わらなかったはずの情報も流れます。
繰り返しますが、ただ単にやせるだけが目的ならばそのようなことをやってみるのも良いでしょう。
ただし、筋肉量が減るリスクや、やめた後にリバウンドするリスクもあることは忘れずに!
ここからは本の内容の一部(本に書いてない内容も一部含む)です。
■人が太る原因は?
太る原因は、
「食べ過ぎて余った燃料が脂肪になるから」
が正解で、そんなこと言われなくてもわかる、と思う人も多いでしょう。
燃料が脂肪になる(変身する)ときには、あるホルモンが仲介します。そのホルモンが無いと脂肪は作られない(=太らない)ことになります。
そのホルモンとは、
「インスリン」
です。
つまり、
食べ過ぎて燃料がたくさん余っても仲介役のインスリンがもしなかったとしたら、太らないのです。
ここで1つ、
「脂質は太る原因にならない」という情報を見たことがある人もいると思います。
それに対して、
「そんなわけない!」
と思う人も多いかもしれませんが、実際のところ半分正解で半分不正解です。
もし体内の脂質が過剰になっても、インスリンが少なければ太らないのです。
つまり、糖質制限してインスリンを少なくしておけば、油ものをたくさん食べて脂質を多くしても太らないのです。
次のように答えれば正確になります。
「糖質制限すれば脂質は太る原因にならない」
「糖質をとる人は脂質は太る原因になる」
以上2つが正解です。
脂質が太る原因にならないのは、糖質制限している場合だけです。
それならインスリンを排除できればば太らなくなり、ダイエットできるのか?
と思う人もいるかもしれません。
でも、
インスリンは体には絶対に必要なホルモン
なので体から排除することはできないのです。
なぜでしょう?
余った糖質はインスリンにより脂肪になりますが、
余らない分の糖質は、筋肉を動かしたり脳を働かせたりするのに必要な糖質で、その分の
糖質を脳や筋肉に配ってくれるのもインスリンだから
です。
つまり、もし
インスリンが無かったら脳や筋肉に糖質を配ることができなくなります。
そうなったら・・・
脳に糖質が配られない→脳に栄養がいかないので考えることが不可能になる
筋肉に糖質が配られない→筋肉に栄養がいかないので筋肉が動かなくなってしまう
というように大変なことになってしまうのです。
ではどうすればいいのか?
●脳や筋肉に必要な量の糖質だけを体内に入れて余らないようにするか、
●少し余るくらいの糖質を体内に入れて、その余った糖質を運動で燃やす、
のどちらかにできれば良いのです(多くの人は余る糖の量が少しではなく多くなりすぎて太ります)。
自身がすすめているのが後者なのです。後者のような食生活をして、適度な運動をすれば糖質と脂質が燃えて、やせることが可能です。きちんとできれば糖質制限も断食も不要なのです。
健康になるには
栄養→運動→休養→栄養→・・・
のサイクルを保つことが重要なのはおわかりいただけるでしょう。
参考までに
糖質制限ダイエットの原理も一応説明しておきます。
糖質制限ダイエットの原理は、体内に入れる糖質を少なくすることで太る原因になるインスリンをなるべく出させないことにあります。インスリンは糖を摂取しなければほとんど出てこないので、脂質やタンパク質をたくさん余らせても簡単には太らないのです。また糖質を摂取しなくても、糖新生という、体内で糖質が作られる仕組みがあるので簡単には不足しないようになっています。また、糖質制限すれば糖質ではなく脂質を効率よく燃料として使えるのでダイエットには有効なのです。
自身のおすすめは糖質制限ダイエットではないので、糖質を摂取してダイエットする方法をおすすめしています。でも、糖質は多すぎるとダイエットに失敗するのでどれくらい摂取すれば良いかが大変重要になります。
では、どれくらいの糖質を摂取すれば良いでしょうか?
■食事について
有酸素運動をやることが前提ならば、
糖質は総カロリーの50~60%くらい摂取
できます。
本を読まれた方は、糖質の食べられる量は結構多いことがわかると思います。
※「何をどれだけ食べたらよいか」
がわからない人が多いと思います。本では詳しく説明していますが、コラムで食事の細かい説明はしきれないので、省きます
繰り返しますが有酸素運動ができるなら、糖質はかなり摂取できるのです。
つまり、質素な食事は不要なのです。また、本で紹介する運動もそれほどハードなものでなく、やり方や時間帯を工夫するだけです。
例えば主食をパンにする場合、6枚切り食パンを、1食あたり1枚半~2枚食べられます。食後に有酸素運動ができるなら、これくらい食べられるのです。
本の95ページ~98ページの、自身の食事例がイラストで載っていますが、元の写真は以下の通りで、質素な食事に見える人はいないのではないでしょうか?
【自身の食事例】
身長177㎝、体重72㎏でよく運動する、自身の食事例です。
主食320キロカロリー、
タンパク質160キロカロリー、
野菜100グラム27キロカロリー
を3食とも摂取し、その他乳製品や果物などを摂取して栄養バランスをとります。それ以外にドレッシングや間食など、全部合わせて約2200~2400キロカロリーになります。
もし有酸素運動しない場合は、この食事例だと糖質が過剰になるので注意してください。
(パンが主食の朝食)
《炭水化物》朝食
6枚切り食パン2枚→320キロカロリー
《タンパク質》朝食
目玉焼き(卵1個)→80キロカロリー
ハム2枚→80キロカロリー
《野菜》朝食
キャベツ、ミニトマト3個、オクラ、インゲン(計100グラム)→約27キロカロリー
(昼食はうどん等)
《炭水化物》昼食
ゆで麺320グラム→320キロカロリー
《タンパク質》昼食
かまぼこ40グラム→80キロカロリー
木綿豆腐150グラム→80キロカロリー
《野菜》昼食
キャベツ、赤色ピーマン、黄色ピーマン、ミニトマトサラダ(計100グラム)
ほうれん草とシイタケ(うどんの中の具)
→約27キロカロリー
(夕食は肉じゃが、焼き魚等)
《炭水化物》夕食
ごはん150グラム→240キロカロリー
じゃがいも中1/4個→80キロカロリー
《タンパク質》夕食
ひき肉40グラム→80キロカロリー
さわら50グラム→80キロカロリー
豆類少量(サラダの中)→数キロカロリー
《野菜》夕食
キャベツ、大根、ニンジン、ブロッコリー、
しらたき(肉じゃがの中)
もやし(味噌汁の中) ほうれん草(味噌汁の中)
計100グラム→約27キロカロリー
(※夕食内容について)
炭水化物は1食320キロカロリー摂取します。ごはん(240キロカロリー)とじゃがいも(80キロカロリー)で、合わせて320キロカロリーです。
じゃがいもは炭水化物の仲間なので、摂取する場合は主食(この場合はごはん)を減らして、合計320キロカロリーにするよう注意します。
(3食以外のもの)
果物
イチゴ60グラム、清見オレンジ1/4、バナナ1/3で、計80キロカロリーです。
(コメント)
果糖が多いので、これ以上のカロリーにならないようにして有酸素運動も必ずします。
何品目か欲しいので、3品目(イチゴ、清見オレンジ、バナナ)を摂取した例です。
上記果物一度に全量摂取するよりも、1日2回程度に分けて摂取した方が良いでしょう。
清見オレンジとバナナを朝食後に、イチゴを夕食後に摂取し、食後に運動をします。
乳製品
牛乳60㎖(40キロカロリー)
豆乳80㎖(80キロカロリー)
無糖ヨーグルト60グラム(40キロカロリー)
(コメント)
乳製品も果物と同様に複数摂取したいので、牛乳、豆乳、ヨーグルト(無糖)3品目を摂取することが多いです。果物と同様に、一度に摂取するよりも何度かに分けて摂取します。
写真右は牛乳60㎖にブラックアイスコーヒーを混ぜたもの、中央が豆乳80㎖、左が無糖ヨーグルト60グラムで、3つ合わせて乳製品の1日量(160キロカロリー)になります。
もし甘さが欲しい場合は、砂糖よりも値段が高くなりますが下記のラカントというものをおすすめします。
上写真左は液状なのでアイスコーヒーなどを甘くしたい場合に適しています。
写真右のラカントSは、料理で使う砂糖の代わりに使うこともおすすめしています。おすすめする理由は、人工甘味料ではなく自然のものでかつ血糖値への影響が少ないため、砂糖よりも太りにくいからです。
その他
脂質
ピエトロドレッシング(オレンジ色)15グラム(約80キロカロリー)
(1食はサラダにピエトロドレッシングを、他の2食のサラダには数キロカロリーのポン酢を使っています)
調味料
味噌大さじ1杯15グラム(40キロカロリー)
麺つゆ濃縮タイプ25㎖(30キロカロリー)
間食
間食は200キロカロリー以内に抑えられるのなら菓子類やアルコールなど、何でもかまわずすすめています。
自身は有酸素運動を多くやる日は果物量を増やしたり、筋トレをやる日はタンパク質量を増やしたりします。
サラダ100グラムの他の例
野菜は1食100gをすすめています。色々な品目をローテーションして摂取できると理想的で良いですが、手間がかかるのでまずは数品目で100グラムにしたり、出来合いのコンビニサラダなどで100グラム摂取するのも良いでしょう。
(上写真)大根、ニンジン、キャベツ、キュウリ、赤ピーマン、黄ピーマン、水菜など、計100グラム
(上写真)レタス、大根、キュウリ、ミニトマトなど、計100グラム
■運動の仕方
有酸素運動と無酸素運動の
「二刀流」
をおすすめしています。
体幹と太ももを意識して運動することが極めて重要です。そのようにすると色々な運動ができるようになり、運動自体が楽しくなります。
筋肉モリモリにしたい人は有酸素運動をしないと思いますが、そうでない人は有酸素運動をすることをおすすめします(糖質を摂取してダイエットしたい場合有酸素運動は必須です)。
●有酸素運動と無酸素運動の違いは?
筋トレやダッシュのような負荷の強い運動は呼吸する余裕がありません。
一方、ウォーキングなどの負荷の弱い運動は呼吸する余裕があります。
呼吸すれば、酸素がたくさんとりこめます。
酸素をたくさんとりこみながらできる運動が有酸素運動で、そうでない運動が無酸素運動
です。
無酸素運動は、脂肪を燃やしやすくします。
有酸素運動は、脂肪を直接燃やします。
両方やれば脂肪燃焼効率が良く、また両方やれば心肺機能向上や将来の移動能力低下防止にも役立つため、
両方のいいとこ取りして健康になる、二刀流をおすすめしている
のです。
また、ウォーキングの仕方を工夫したり姿勢を意識することもダイエットには大変役立ち、また運動する時間帯を意識することもダイエットには役立ちます。
この説明も本には書きましたが、長くなるので今回は省略します。
その他の細かい内容はコラムでは書ききれないので省略します。
自身が普段している運動は(本で紹介している)股関節ウォーキングや、(本の最後に紹介している)もも上げ運動が中心です。
が、
体幹や太ももを意識して普段から動けば、下動画のような運動も可能になるのです。
下動画の運動は頻繫にやる運動ではありません。
体幹や太ももを意識して強化させられればこのような運動も可能だということを知ってもらいたいため載せました。
筋トレで筋肉をつけることよりも、このような筋肉を使う運動の方が好きなのでやっているのです。
筋トレはこのような運動を上達させるための補助運動としてやっている程度です。
繰り返しますが体幹はとても大事です。また、体幹を強化することで将来転びにくい体をつくるのにも役立ちます。ハードな運動をしなくても強化することは可能です。その方法は本に詳しく説明しています。
■結局どうやってダイエットすればいいのか?
前述したように、
栄養→運動→休養→栄養→・・・
を上手く循環させられれば健康になれます。ダイエットしてかつ健康になるためには、上記サイクルを保ったままダイエットする必要があります。
特に皆さんが悩まれるのは
「何をどれだけ食べたらいいか?」と「どんな運動をどれだけすれば良いか?」だと思います。
コラムでは書ききれないので省略しますが本に書いてる通り、意外に色々なものが多く食べられます。何をどれだけ食べたら良いかをまずは把握しましょう。また、運動も体幹や太ももを意識して工夫を加えるだけで脂肪燃焼効率も上がり、ダイエットできるのです。
体幹を強化できれば、一輪車だって乗れます。子供だけが乗れるものではないのです。
大人が一輪車に乗ると、いい意味でとても目立ちます。
栄養→運動→休養→・・・
のサイクルを保って、健康になりましょう。