当院で糖質制限ダイエットをすすめない理由
糖質制限ダイエットは、
短期間で確実に効果が出るダイエット法の一つであるため、
とても流行っています。
また、糖尿病の人が糖質制限を徹底すると驚くほど血糖コントロールが良くなることもあります。
でも、
当院では、この糖質制限ダイエットを絶対にすすめません。
■当院で糖質制限をすすめない理由
すすめない理由は、
時間はかかるけれども、
あえて糖質制限しなくても運動を上手く併用すればダイエットすることは可能
(糖の過剰摂取はだめです)だし、また、
糖を摂取した方が頭もよく働くし体も円滑に動くから、
また、
長続きさせるのが難しい人が多いから
です。
■糖以外で脳の燃料になるものもあるにはあるけれども・・・
糖は脳の燃料になりますが、それ以外にケトン体と乳酸も脳の燃料になります(ケトン体と乳酸の詳しい説明は省きます)。
そのため糖を摂取しなくても問題ないという情報もあります。
でも、ケトン体や乳酸だけで脳の燃料をまかなうのには無理があります。不足分は、糖で補う必要があるのです。
それなのに、糖質制限している人が普通に生活できているのはなぜか?
■タンパク質が糖に変身する
不足分の糖は、タンパク質から作られます。
つまり、タンパク質が糖に変身するのです(これを糖新生といいます)。
タンパク質本来の働きは筋肉を作ることですが、体内に糖が足りないときはタンパク質が糖に変身するという、本来の働きではない働きをするということです。
そのため糖質制限を徹底した場合、タンパク質の摂取量をかなり多くしなければなりません。
「タンパク質は多く摂取しても体には問題ないだろう」と考えている人が意外に多いようです。
問題ない場合もありますが・・・
■タンパク質を過剰摂取すると・・・
❶胃腸が丈夫でない場合、消化不良を起こしやすい
❷健診などで腎機能異常を指摘されている人がタンパク質を大量に摂取すると、腎機能が悪化して近い将来人工透析が必要になる可能性が高くなる
タンパク質は炭水化物(糖)のように消化吸収が良くありません。
そのため、胃腸がそれほど丈夫でない人がタンパク質を大量に摂取すると消化不良の原因になることがあります。
糖や炭水化物を多く摂取しても(消化吸収が良いため)大丈夫だけどタンパク質は無理、という人は意外にいます。
また、腎機能に異常がある人がタンパク質を大量に摂取すれば腎機能が悪化してしまいます。
腎不全という状態になると、タンパク質は制限しなければならないのです。
自覚症状がなくても要注意なのは、
健診などの尿検査で尿タンパクが陽性の人
です。
そのような人は現在生活に何ら支障がなくても
タンパク質摂取を徹底することで
近い将来人工透析を早めてしまう可能性が高くなるのです。
次に、
糖質制限したけれども、胃腸が丈夫でないためタンパク質を多く摂取できなかったらどうなるでしょう?
→脂肪だけでなく筋肉も減ったスリムな体型になります。
■糖質制限してタンパク質が十分摂取できないと、脂肪だけでなく(筋肉から糖が作られて)筋肉も減る
前述したように、ケトン体や乳酸だけで脳の栄養をまかなうのは無理があり、糖質制限して糖を体に入れなかったらタンパク質から糖がつくられます。
胃腸が丈夫でなくてタンパク質を十分摂取できなかったら・・・
足りない分の糖を補うために、タンパク質である筋肉が分解されて糖に変身します。
つまり、自分の筋肉を犠牲にしてタンパク質から糖を作り(糖新生)、それが(ケトン体や乳酸だけではまかなえない分の)脳の栄養になるのです。
そのため、糖質制限を徹底しても必要最小限の糖の量はタンパク質のおかげで何とか保てるのです。
まとめると、
糖質制限を徹底してタンパク質を十分に摂取できないと、
脂肪が燃料になることで(脂肪が減るため)やせられるけど、
足りない糖を補うために筋肉が分解されて筋肉量も減ってしまう
のです。
この場合、筋肉と脂肪の両方が減るため、体重もかなり減ります。
体重がかなり減ればダイエット成功でしょうか?
筋肉量が減るので当然健康的ではなく、リバウンドもしやすくなります。
そのため、体重の減り幅だけを見たら大成功といいたくなるかもしれませんが、ダイエット失敗といってよいでしょう。
■糖質制限を長続きさせるのは難しい
糖質制限していなかった人が糖質制限をすると、
「頭が働かない」「体が円滑に動かない」
と感じることが多くあります。
そのため、短期間ならば糖質制限できても長期的に継続させるのは難しい人が多いのです。
■逆に、糖質制限をすすめられる人は
糖質制限をすすめられるのは、今までの説明から
胃腸が丈夫で、腎機能に異常がないことが絶対条件になります。
次に、長く続けられることが条件になります。
長く続けられるのは、筋肉をモチベーションにしている人です。
そのような人は、糖を積極的に摂取すると脂肪蓄積のリスクが出てくるため、糖質制限を長続きさせることが苦にならないでしょう。
また、とにかく何らかの理由で短期間だけでも良いからやせなければならない事情がある人(結婚式など)は、短期間だけ実行するのは良いでしょう。