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甘いものは体に良いけど体に悪い!!

 

多くの人は、

 

「〇〇が体に良い」

 

という宣伝を見ると、そればかりたくさん摂取しようとします。

 

医師目線から見ると、

「宣伝されているほどの効果はない」か「多く摂取したら逆に健康に良くない」

というものも少なくないです。

 

今回は、糖質が体に良いかの話です。

 

糖質というと、

 

砂糖

甘いもの

食事で摂取する主食(米、パン、麺など)

一部の野菜(芋、かぼちゃなど)

 

などに多く含まれています。

 

 


 

 

■甘いものは体に良いか?

 

結論から言うと、コラムのタイトル通り体に良いけど体に悪いです。体に良いのは、適量の糖が摂取できている場合で、悪いのは、適量以上に摂取している場合です。

 

適量の量は残念ながら少なく、塩分と同様に過剰摂取している人が多いです。

 

 


 

 

■疲れやすさのよくある意外な原因は

 

「疲れたらどうしますか?」

に対し

→「甘いものを摂取する」

という人は多いようです。

 

疲れたら甘いもの、

ストレスを感じたら甘いもの、

脳を活性化させたいから甘いもの、

 

確かに、甘いものは脳をリラックスさせるので疲れたときに摂取すれば一時的に効果がでます。そのため、甘いものを欠かさない人がいます。

 

でも、甘いものが疲れの原因になるのです。

 

 


 

 

■多くの人は甘いものに対するリラックス効果には気づいているけれども、体調不良の原因にもなっていることには気づいていない

 

「甘いものは脳を活性化させるし頭をリラックスさせるから摂取する」

という人は

 

糖質依存症(糖質中毒)

 

の可能性があります。

 

「甘いものは疲れをとってくれるしリラックスできる」

 

でも、逆に

 

「疲れやすくなる原因にもなる」

「イライラする原因にもなる」

「眠気の原因にもなる」

「体調不良の原因にもなる」

 

のです。

 

 

また長い目で見ると

 

癌や認知症など、様々な病気の原因にもなる」のです。

 

そのことに気づいていなくて、「甘いものは(リラックスできるから)欠かせない」と思い込んで積極的に摂取している人は、紛れもない糖質依存症(糖質中毒)です。

 

これから何十年先の健康を考えたら、絶対に良くないので改善した方が良いです。

 

 


 

 

■糖質は確かに脳をリラックスさせる効果があるがそれは短時間だけにすぎない

 

糖質には頭をリラックスさせる効果があるのは事実です(細かい説明は省きます)。

 

知っておいてもらいたいことは、

 

 

糖質でリラックスを感じられる効果は短時間しかなく、効果がなくなると逆に今度は体に不調を感じるようになるのです。

どのような不調かというと、

 

「疲れる」

「イライラする」

「眠い」

「落ち着かない」

 

などです。

 

 


 

 

■甘いもので体調が悪くなる理由と、多くの人が勘違いしていること

 

甘いもので体調が悪くなる理由は・・・

 

甘いものを摂取すると急速に血糖値が上がろうとしますが、

リラックス効果を感じるのはこの瞬間(血糖値が上がろうとする瞬間)です。

それじゃ、血糖値がずっと上がり続けたらずっとリラックスできる?

 

 

血糖値がずっと上がり続けたら・・・

 

→意識を失って倒れてしまいます。

 

 

そのため甘いものを摂取して急激に血糖値が上がると下げる必要があるため、速やかに血糖値は下がるのです。下がるとリラックス効果がなくなります

 

ここで多くの人が次のように勘違いしています。

 

「甘いものでリラックスできたけど効果がなくなったので、再度甘いものを摂取したらまたリラックスできるだろう」

 

 

つまり、効果がなくなったら再度甘いものを摂取して効果を期待し、次も効果がなくなったら同じことを繰り返す、

そのような人は糖質によるリラックス効果がなくなるたびに糖質摂取を繰り返して結果的に糖質過剰になり、不健康を招くのです。

 

もう一度説明すると、

甘いものを口にするとリラックスできる、と体が覚えてしまうと・・・・・

 

甘いもので体がリラックス

→短時間でリラックス効果がなくなる

→また甘いものを摂取

→また短時間でリラックス効果がなくなる

→また甘いものを摂取

 

 

 

以上のようなことを繰り返すのが

 

糖質依存症(糖質中毒)

 

です。

 

 

ひどくなると、

 

甘いものを摂取しないと落ち着かない、

ストレスがたまるとすぐ甘いものに手を出す、

無性に甘いものを食べたくなることが頻繁、

 

というようなことが

起こってしまうのです。

 

 

 


 

 

■多くの人が甘いもので脳が活性化していると錯覚している

 

以前のコラムで説明したように、一般的な食事を摂取している人の糖質の量は、よほど運動するようなことがない限り十分足りており、むしろ過剰な人の方が多いのです。糖質が過剰なために太ってしまう人が多いのです。

甘いものを摂取すると脳がよく働くと言い張る人は・・・、

甘いものを摂取して脳がリラックスするので、この現象=脳の活性化、と錯覚していることがほとんどです。つまり甘いもので脳がリラックスできるので、(甘いものが)脳に何らかの働きをしてくれていると思い込んでしまっているのです。両者(脳の活性化と脳のリラックス)は全く別なので注意しましょう。

 

 


 

 

■糖質依存症(糖質中毒)は肥満・糖尿病だけでなく癌や認知症など、多くの病気の原因になる

 

糖質依存症(糖質中毒)になると、糖尿病発症リスクが非常に高くなり、肥満になる確率も非常に高くなります。そうなると、血圧やコレステロール、中性脂肪の数値も高くなったり、心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクも高めたり、

将来認知症になったり癌になったり、・・・

百害あって一利なしです。

 

 


 

 

■糖質依存症(糖質中毒)を改善すれば、疲れやすい体質が驚くほど改善することもある

 

糖質依存症(糖質中毒)になると、前述したように短時間は調子良いけどその後不調になり疲れる、という状態を繰り返します。

この場合は疲れる原因=糖質ですが、糖質が疲れる原因だと気づいていない人が多いのです。気づかない理由は糖質にリラックス効果もあり、その良い方(リラックス効果)にしか目が向かなく、また甘いものをおいしく感じているからです。

 

自身はそのような人に糖質制限をすすめることをしませんが、甘いものの摂取頻度を減らすように指導します。

その結果「甘いものを少し我慢することによって体調が驚くほど良くなった」という例を多く経験しています。

 

 


 

 

■糖質制限はすすめないけれども・・・

 

以前のコラムで説明したように、当院で糖質制限をすすめることはしません。

糖質制限をしないで、かつ糖質依存症(糖質中毒)にならない量の糖質を摂取することをすすめているのです。

そのくらいの量の糖質を摂取して運動を併用することにより、患者さんが健康になれるようにお手伝いしております。

自身は糖質摂取を全体の摂取カロリーの50~60%にすることを徹底し、かつ多彩な運動をすることにより運動を楽しみ(過去のコラム参照)、患者さんの手本になれるように健康維持するよう心掛けています。

もし運動しない場合は、糖質摂取が摂取カロリーの50~60%でも過剰です。

健康のためおすすめなのは、糖質制限しないけど糖質が過剰にならないようにもする(糖質適量摂取)し、その上で運動も併用することです。

 

甘いものを控えめにするだけで体調が驚くほど良くなることもあるので、思い当たる人は実践してみてください。