疲れやすい場合の漢方薬は?補中益気湯?
疲れやすいのを改善したいという患者さんは非常に多いです。
結論から言うと疲れやすい場合の漢方薬はこれ、という答えはありません。
なぜならば、
漢方医学的に何らかの所見があれば、
それが全て疲れやすさの原因になることがあり、その所見は一人一人違い、さらにその所見は多岐にわたるからです。
そのため
漢方医学的に改善できるところを改善させることが疲れやすさの漢方治療
になります。
■西洋医学的に疲れやすい原因がある場合は西洋治療が必要
はじめに
疲れやすい原因となる病気がある場合は、西洋医学的な治療が必要になります。
そのため疲れやすいことに対して漢方治療を希望の場合、
まずは西洋医学的な異常がないかどうかの検査を一般内科などでして、問題ないことを確認してから漢方内科に受診するのが望ましいです。
西洋医学的に原因疾患がある場合、補助的に漢方治療ができたとしても西洋治療は必須です。
■漢方医学的に疲れやすい原因で多いのは「気虚(ききょ)」だが・・・
実際は様々な原因がありすぎる
西洋医学的に異常がないのに疲れやすい場合は、漢方薬が有効になることは多々あります。
疲れやすい原因として漢方医学的に多いのは、
「気虚(ききょ)」
です。
その気虚に対する漢方薬の代表は
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
です。
補中益気湯はとても重要な漢方薬なので、別のコラムで詳しく説明する予定です。
医師が補中益気湯を処方する場合は、気虚という診断が不可欠です。
そのため気虚という診断をしないで
疲れやすいという一言で医師に補中益気湯を処方されるようなことがあったら
今までのコラムで何度も説明している病名処方となり
(有効であったとしても)間違った処方方法となります。
補中益気湯が無効の場合は、疲れやすい原因が気虚ではないということになります。
実際には気虚以外にも疲れやすい原因はたくさんあるのです。
■気虚以外でも疲れやすさの原因はありすぎるので説明しきれない
気虚以外に、以前のコラム「気のせいは漢方で治療できる」で投稿した気滞(気うつ)、気逆も疲れやすさの原因になります。
また、気の異常以外に血液の働きが十分でない「血虚(けっきょ)」血液が滞る「瘀血(おけつ)」、水がうまく巡らない「水滞」も
疲れやすさの原因になることがあります。
つまり
気虚、気滞、気逆、血虚、瘀血、水滞のどの状態も疲れやすさの原因になり、
原因としては気虚が多いけれどもそうでない場合もあり、
自分自身がどの状態にあたるのかを医師に診断してもらい、
その治療をすることが
疲れやすさの漢方治療をすること
になるのです。
■疲れやすさの漢方治療=漢方の証を診断して改善させること
繰り返しますが
疲れやすさの漢方治療は、結局のところ医師が漢方医学的な診断をしてそこを改善させるという治療になります。
そのため疲れやすさの漢方治療はたくさんありすぎて説明しきれません。
漢方医学的な診断である「証(しょう)」は、
(細かいところまで診たら)100人いたら全員違うといっても過言ではありません。
そのため疲れやすかったらこの漢方薬、という処方方法はありません。
ただ、
疲れやすさの原因として前述した「気虚」は多いので、
疲れやすさの漢方薬=補中益気湯
として病名処方されてしまうことが多いようです。
重要な漢方薬である補中益気湯がどのような漢方薬でどのような人に有効なのかは、今後のコラムで説明する予定です。
■気虚以外でも疲れやすさの原因になる理由の例
疲れやすさの漢方治療は多すぎて説明しきれませんが、一例として
「気逆(きぎゃく)」
を説明します。
気逆は、以前のコラムの「気のせいは漢方で治療できる」で説明したように
エネルギーの流れが逆流する(身体の下から上に流れる)状態です。
それに対し気虚は
エネルギーの量が少ない状態です。エネルギー量が少なければ、(エネルギー量が足りないので)少し活動しただけで疲れるのは当然になります。
気逆の場合はどうでしょうか?
気逆の症状の1つに悪夢がありますが、
もし寝ている間に悪夢を見ていたら、うなされてエネルギーを多く消耗してしまうことは想像できると思います。元々のエネルギー量が十分あったとしても、寝ている間にエネルギーをたくさん消耗してしまうと、結果的に少なくなってしまいます。
その場合、特に疲れるような運動をしていないのに
エネルギーの消耗が大きいため
疲れやすいという症状が出現することがあるのです。
このような場合に
疲れやすいから補中益気湯
としても無効です。
なぜならば、この場合は気虚ではなく気逆が疲れやすい原因だからです。
補中益気湯は前々回のコラムで説明した先補後瀉(せんぽこうしゃ)の場合、補(ほ)の治療の漢方薬で、不足したエネルギーを補います。
それに対し気逆の治療は瀉(しゃ)になります。
「気虚はエネルギーがもともと少ないので疲れる」
「気逆はエネルギーを消耗するため疲れる」
と考えればわかりやすいと思います。
つまり
気虚の場合はエネルギーを増やす治療が必要
気虚以外の場合はエネルギーを消耗してしまう原因(この例では気逆)を治療することが必要
になるのです。
結局のところ
気虚以外の気滞、気逆、血虚、瘀血、水滞のどの状態でも、
疲れやすさの原因となりうるため、漢方医学的な正確な診断をしてもらうことが不可欠なのです。
補中益気湯が無効なら、気虚以外の漢方治療が必要である可能性は高いといえます。
西洋医学的に異常がなく、かつ補中益気湯が無効ならば、再度漢方診察をしてもらいましょう。


