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フレイル・要介護と健康寿命について

フレイルという言葉を知っていますか?

 

一言で言うと、年をとって運動機能(や認知機能)が衰え、まだ要介護ではないけれども要介護になるのが時間の問題になっている状態を言います(早めに気づき、適切な対応をすれば改善する例もあります)。例えば、怪我をしたわけでもないのに杖を使わなければ歩けなくなったとすると、近い将来介護が必要になる可能性が高く、フレイルと言えます。

要介護の手前がフレイル(杖歩き等)だとすると、フレイルの手前はどのようになるでしょう。例えば、歩くのが昔よりも少し遅くなった人は、運動機能が衰えてきている可能性が高く、フレイルになる年齢が早くなるリスクがあります。歩行速度の低下=プレフレイルではなくフレイルという考え方もありますが、比較的若い人が昔より少し歩行速度が低下したという場合はフレイルではなく、フレイルになる年齢が早い可能性がある人と考えられます。高齢者が短い距離をやっとの思いで歩いているような場合は、フレイルと言えます。

 

 

フレイル・フレイルと、決して脅しているわけではなく、比較的若い年齢の人が、今から運動療法を的確に行えばフレイル予防が期待できるので、一人でも多くの人に運動をとり入れてもらいたいのです。比較的若い時の運動不足によりフレイルになる人が多いからこそ、運動をすすめているのです。

要介護になる年齢を遅らせる=健康寿命が長くなる、つまり、要介護の手前のフレイルも遅らせることができれば健康寿命を長くできると言えます。

 

 

運動の効果として、血糖値・血圧・コレステロール・中性脂肪などの数値を改善させたり、脳梗塞・心筋梗塞を予防したり、認知症を予防したりすることが分かっていますが、今回はフレイル予防のためにはどうしたらよいかの一例を説明します。以前も説明していますが、重要なことなので繰り返します。

 

歩くのが速い人と遅い人の違いは?

一歩一歩の足を動かすスピードが速ければ当然歩くのは速くなります。でもその歩き方は疲れるだけで良い歩き方ではなく、長い距離を歩くのに適さないためおすすめしません。

違いを一言で言うと、歩くのが速い人は太ももを動かして歩いていて遅い人は膝下を動かして歩いているのです。

膝下で歩くと歩幅が狭くなります。また、太ももをほとんど使っていないので太ももの筋肉は衰えていきます。太ももの筋肉が本当に衰えるといずれ立ち上がるのも大変になり、フレイルに少しずつ近づきます。

以前のコラム「加齢により衰えやすい筋肉を意識しましょう」で説明しましたが、太ももを意識して歩きましょう。一歩一歩のスピードを速くすることを意識するのではなく、太ももを前に移動させて体を前に進ませることを意識しましょう。この習慣を長く続けるだけでもフレイル予防が期待できます。また、膝下で小刻みに歩くと、上半身が足よりも前に出やすくなり、転びやすくなります。つまり、膝下で歩く人は転倒→大腿骨骨折→要介護となるリスクも増えます。太ももが前に出る歩き方の場合は上半身が足より前方に出にくくなり、転びにくくなります。また、不思議なことによく使う筋肉部位の骨は衰えにくいため、太ももをよく使っていれば大腿骨も丈夫になり、大腿骨骨折のリスクも低下すると考えられます。つまり、太ももをよく使う習慣があれば転びにくくなるし大腿骨も丈夫になるのです。

 

 

自分自身は、今後高齢になってもスタスタ歩けるように、歩き方や姿勢を意識しています。筋肉はつけすぎずにつけて、衰えないようにしています。また、少しハードな運動になりますが、(若くないのに)ダッシュをする運動もとり入れています。転ばずにダッシュできるととても気持ちが良いです。ダッシュをしても転ばない体であれば、以前のコラム「加齢により衰えやすい筋肉を意識しましょう」で説明した3つの筋肉が維持できていると考えられます。ダッシュは負荷が大きく、すすめる運動ではありませんが、体力に自信がある人ならばやってみるのも良いと思います。

今後は運動療法の動画もコラムに取り入れようと考えています。