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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にマスクは有効か?

専門家は、

→「マスクはコロナ予防に有効でない」

 

それに対し

一般の人の一部は、

→「マスクがコロナ予防に有効でないはずがない」

 

真実はどうでしょう?

 

 

 


 

 

■「マスクがコロナ予防に有効でないはずがない」について

 

おそらく、次のような言分だと思います。間違ってはいません。

 

「コロナウイルスのサイズがマスクの壁を通り抜けるほど小さくても、マスクを装着した方がしないよりコロナウイルスは入りにくくなるはず

 

例えば、壁に100cm×100cmの正方形の穴が空いていたとします。

この穴に、直径約5cmのボールを投げたらボールは簡単に通り抜けます。

でも、この100cm×100cmの穴に10㎝間隔で縦と横に格子をつけたらどうなるでしょう?

 

この場合、格子と格子の間の隙間は10cm×10cm(格子の太さは無視)になります。

 

直径5cmのボールなら、10cm×10cmの格子の隙間を通り抜けることはできるけれども、格子にぶつかったら通り抜けません。つまり、格子がある分ボールは通り抜けにくくなります。

 

格子なしの100cm×100cmの穴=マスク装着なし

格子ありの100cm×100cmの穴=マスク装着あり

5cmのボール=コロナウイルス

 

と考えると、格子がある方が(マスクを装着した方が)5cmのボールは通過しにくい(コロナウイルスが入りにくい)と言えます。

 

以上の説明から、マスクはした方が有効に思えますが・・・

 

 


 

 

■マスクは、本当に正しい使い方ができればコロナ予防に有効だが、それがとても難しい

 

本当に正しいマスクの使い方で、

特に知ってほしいポイントは大雑把に次のようになります。次のことができていなければ、マスクをしない場合とほぼ変わらなくなることもあります。

 

❶できるだけ手を綺麗にしてからマスクを装着する。

❷装着後はマスクや顔を絶対に触らない。

❸マスクを頻繁に取り換える。取り換える前に、手を綺麗にすることも忘れない。

 

 

まず、マスクを装着する前に手を徹底的に洗い、消毒もします。

※手洗いが徹底できていれば手の消毒の方を省いてもそれほど問題ありません。

 

次に、その手を新品のマスク以外のどこにも触れないようにして装着します。もしマスク装着前に誤って手がどこかに触れたら再度手洗い・消毒をし、どこにも触れないようにしてマスクを装着します。

 

始めに手洗い・消毒をするのは、手についている菌やウイルスをできるだけ少なくするためです。手は想像以上に汚いのです。手洗い・消毒した手で新品のマスクをつければ、ひとまず安心です。

 

 

 

もし手洗いをしないでマスクを装着したら、その時点で使い方が間違っています(花粉症予防のマスク装着ならば問題ありません)。この時点ですでにできていない人が多いのではないでしょうか?

 

 

次に、どのようなときにマスクをどうやって交換するか?

万が一マスクに手が触れたら、その時点で交換です。交換するときは、再度手洗い・消毒をして、また新品のマスクを装着します。新品でなければいけません。前述したように、万が一次の新品マスク装着前に手がどこかに触れたら再度手洗いと消毒をしてから装着します。

 

また、どれくらいの頻度でマスクを交換した方が良いでしょう?

もし花粉症予防のためにマスクを装着するのなら、強風の日でなければ丸1日交換しなくても良いでしょう。

 

では、コロナ予防の場合は?

 

正解はありませんが、頻繁に交換する必要があります。

 

なぜ、頻回に交換する必要があるのでしょう?

 

もしコロナウイルスがマスクの外側に付着していた場合、

 

マスクをつけたまま放置すると、小さなコロナウイルスがマスクの壁を通り抜けてマスクの内側に移動して体内に侵入するのが時間の問題になるからです。

 

先ほどの例で言うと、格子にくっついたボールが、しばらくすると10cm×10cmの隙間を通り抜ける、ということです。

 

※ボールは格子に当たると跳ね返りますが、コロナウイルスは跳ね返らずマスクに付着し、その後侵入するのです。

 

せっかくマスクをしていても、コロナウイルスがマスクに付着したらその時点で交換しないと感染してしまう可能性が高くなるのです。いつ付着するか分からないため、頻繁に交換する必要があるのです。

 

結局、コロナウイルスがマスクの壁で一時的にブロックされたとしても、少し時間が経つとマスクの目に見えない小さな隙間から侵入するので、頻繁に新品のマスクに替えていないならば効果が薄く、ノーマスクの場合とほぼ変わらないこともあります。

これが専門家の言っていることなのです。

 

 

以上のように頻繁にマスク交換をしている、マスクを装着するたびに徹底した手洗いも忘れない、ということが守れていない限り

「マスクで予防する」という効果は出にくいのです。

 

現状としてマスク不足が深刻なので、1日に何度も新品マスクを装着するのは不可能です。もしマスクの数に余裕があったとしても、何度もマスクを交換し、そのたびに徹底した手洗いをする、というのは難しいでしょう。

 

実際に、多くの専門家が「マスクで予防する効果は出にくい」ことを論文で発表しています。

 

 


 

 

■「マスクでの予防効果は少ない」のに、「マスクで他人にうつしにくくする効果は高い」と言われるのは何故か?

 

以上の説明から、

感染者がマスクを装着しても、咳などでコロナウイルスがマスクの壁を通り抜けるから他人にうつしにくくする効果もあまりないのではないか?

 

と考える人もいると思います。

 

口内にいるコロナウイルスと空気中にいるコロナウイルスの違いが分かればどうなるか、簡単に分かります。

 

口内のコロナウイルス→水分に付着している

空気中のコロナウイルス→水分に付着していない(していても多くない)

 

 

口内のコロナウイルスは水分に付着する分粒子が大きくなるので、マスクの壁を通過しにくくなるのです。つまり、コロナウイルスがマスクの外側に出にくくなるのです。

そのため、感染者がマスクをしていれば、感染拡大を防げるのです。

 

 


 

 

■マスクは装着した方が良いか?

 

今までの内容から、コロナウイルスに感染していなければマスク不要、と言いたいところですが、マスクは持っているならばなるべくしましょう。

 

その理由は、コロナウイルスに関してはまだ未知なことが多く、無症状の人でも感染している可能性があると言われています。

そうなると、風邪症状が全くなくても国民のだれもがコロナウイルスに感染している可能性を否定できないということになるのです。

つまり、誰もが感染している可能性があるため、誰もがマスクを装着していれば、他人にうつしてしまうリスクが大幅に減るのです。そうなれば新型コロナウイルス感染症が終息に向かうことが期待できるのです。