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新型コロナの免疫があるかを調べるIgG抗体検査とは?

 

緊急事態宣言が解除され、世間では少しずつ以前の日常が戻ってきています。

 

過去をたどると、

100年前のスペイン風邪=現在のインフルエンザです。

 

今後を予測するのは難しいですが、人と新型コロナウイルスは共存していくことになりそうです。

 

でも、

これから先は、新型コロナが少しずつ普通の風邪に変わっていき、だんだん騒がれなくなっていくことでしょう。

 

前置きはこれくらいにして本題に入ります。

 

IgG(アイジージー)抗体とは何か?

また、IgM(アイジーエム)抗体とIgG(アイジージー)抗体の違いも説明します。

IgM抗体とIgG抗体の違いだけを知りたい人は、下の方だけを読んでください。

 

 


 

 

抗原抗体の違いは

 

新型コロナでいうと、

 

新型コロナウイルスそのもの=抗原

新型コロナウイルスと闘ってやっつけてくれるもの=抗体

 

です。

 

つまり体内に抗原は無い方が良く、抗体はあった方が良いことが分かると思います。

 

 


 

 

■新型コロナウイルスの抗体を持つには?

 

インフルエンザと同じです。ワクチンを接種するか、直接感染するかのどちらかしかなく、まだ新型コロナのワクチンはないので、抗体を持つためには直接感染するしかありません。

 

直接感染すると、体が新型コロナウイルスと闘うことにより

 

次に感染した時に闘ってくれるもの=抗体

 

ができるのです。

 

初めて体内に新型コロナウイルスが入ったときは一から闘うため風邪症状が強く出やすいですが、やっつけてくれるもの(=抗体)をすでに持っている状態で再度入ってきたら、そんなに激しく闘わなくて良いので軽い症状で済む(又は無症状で済む)のです。

 

※発熱や咳などが新型コロナウイルスと闘っている症状になります。そのため、風邪全般に言えることですが、体力がある場合は発熱や咳を薬で止めない方が、闘いを止めないことになるので早く治ります。

 

 


 

 

■新型コロナの抗体がどんなタイプか、まだ不明

 

「麻疹(はしか)は一度かかるともうかからない」ということを聞いたことがあると思います。

麻疹にかかって麻疹の抗体ができると、その抗体はずっと体内に存在し、特別な例を除いてまたかかることはありません。

 

それに対し、インフルエンザにかかってインフルエンザの抗体ができた場合(又は予防接種をして抗体ができた場合)はどうでしょう?

この場合は麻疹のようにはならず、またかかっても軽く済むのです。インフルエンザの抗体がつくられても、時間の経過とともにだんだん減っていきます。

 

新型コロナの抗体がどのようなタイプかは、まだ不明です。

 

 


 

 

■新型コロナのIgM抗体とIgG抗体とは?

 

簡単に言うと、100%正しい表現ではありませんが、

 

IgG抗体が陽性なら、

 

 新型コロナにかかった(もう治っている)

 

IgM抗体が陽性なら、

 

 新型コロナにかかっている最中で、まだ治っていない。

 

つまり、

昔かかったけど今は治っていることが分かるのがIgG抗体

新型コロナにかかっていてまだ治っていない時に分かるのがIgM抗体

 

※IgM抗体とIgG抗体が両方陽性になる時期もあります。

 

もう少し説明すると、

 

IgM抗体

感染して間もない時期に作られて増えていくけど、感染が終わるころに無くなっていく

 

IgG抗体

IgM抗体よりも遅れて作られ増えていき、感染が終わっても消えずに持続する

 

ということです。

 

そのため、IgG抗体が陽性ならば過去の感染を推測でき、

IgM抗体が陽性なら現在の感染が推測できるのです。

 

※IgM抗体とIgG抗体が両方陽性になる時期もあります。

 

 


 

 

 

■新型コロナIgG抗体陽性がどれくらい持続するかは、現時点ではまだ未知

 

例えば、麻疹(はしか)のIgG抗体は一度できればずっと体内に残り、一般的には一度かかったらもうかからないことがほとんどです。

 

それに対し新型コロナは、

麻疹のように一度かかったらもうかからないのか、インフルエンザのようにまたかかっても軽く済むのか、またIgG抗体がどれくらい体内に持続して残るのかなど、まだ不明です。

一般的には、IgG抗体が減っていったとしても、抗体を作った経緯がある方がウイルスに対しては強くなります。