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漢方とAIの相性は・・・

 

「自分に合った漢方薬をAIに聞いて調べる」

「医師に処方された漢方薬が自分に合っているのかAIで確かめる」

 

時代が時代なので、このようにする人は多いと思います。

 

でも、AIの答えが絶対正しいとは限りません

 

漢方とAIの相性はどうでしょうか?

 

結論から言うと、

 

ネットなどに書かれている効能がそのまま効くような、

典型的な患者さんの場合はAIと漢方の相性が抜群に良く

そうでない難治の患者さんの場合は相性が悪いでしょう。

 

なぜならば、難治の患者さんほど

四診(ししん;漢方で最も重要な診察)をしないと有効な漢方薬を導き出せないからで、

 

この重要な

 

四診をAIはすることができません

 

 

 

 


 

 

 

 

■AIの最大の弱点は漢方診察で極めて重要な四診ができないこと

 

 

AIは

 

漢方診察で極めて重要な

 

四診の一部はできても、

 

全てはできません。

 

 

 

漢方の診察は西洋と違い四診という診察が必要です。

 

 

例えば、

 

患者さんの外見(体型や皮膚の状態や顔色など)を診て、有効な漢方薬を決める手掛かりにすることがあります。これを望診(ぼうしん=見ること)といいます。

 

また患者さんの声などを聞いて、(声の特徴から)有効な漢方薬を決める手掛かりにすることもあります。これを聞診(ぶんしん=聞くこと)といい、これも漢方診察では重要です。

 

また患者さんの手首の脈に触れて状態を確認(切診)し、舌の色や厚さなどを診て(これは望診の一つ)、さらにお腹の触診(切診)などをして処方を決めます。

 

 

望診(ぼうしん)、聞診(ぶんしん)、切診(せっしん)の他に、

 

どの科でも必ず行う問診(もんしん)を加えた4つの診察を四診(ししん)といいます。

 

 

四つの診察のうち

 

問診は、AIに症状を伝えればしてもらえます。

 

望診は、自分の体型や舌の画像を送信すれば、AIがしてくるかもしれません。

 

聞診は、自分の声をAIに聞いてもらえばしてくれるかもしれません。

 

でも、AIは脈やお腹に触れて診察する切診が絶対にできません

 

つまりAIは四診を全部やることができないのです。

 

 

 

 


 

 

 

 

■例えば四診の一つである腹診で有効な漢方薬が決まる場合AIはどうすることもできない

 

 

実際に、腹診が決め手で有効な漢方薬が決まることもあります

 

この場合AIでは解決できない症例と言え、医師に診察してもらったからこそ解決する症例といえます。

 

その実際に有効だった漢方薬の効能には、自分の症状に対する効能が書いていない場合もあるのです。

 

病名処方(四診をしないで症状や病名から決める処方のこと)では絶対に導き出せない漢方薬を、お腹の触診などから導き出せることもあるということです。

 

効能に書かれていない漢方薬を、AIがすすめてくる可能性はないでしょう。

 

その漢方薬はAIにはできない腹診をしたからこそ導きだせた漢方薬だからです。

 

つまり

効能通りに効く(病名処方で解決する)患者さんならばAIは大変有効で、

四診をしないと有効な漢方薬が分からないような難治の患者さんの場合はさすがのAIでも有効な漢方薬を選別するのは難しいということです。

 

 

 

 


 

 

 

 

■難治の患者さんの漢方薬処方はその人にしか使えない処方

 

 

漢方診療の経験豊富な医師ならば共感してくれると思いますが、難治の患者さんに有効な漢方薬を導き出せた場合、それはその人にしか使えない漢方処方だと感じます。

 

難治で複雑な症例になればなるほど唯一無二のことが多く、効能通りにはいかないのです。

 

その人にしか使えない異例の処方だとしたら、膨大なネット情報の中にその効能が記載されていないので、その処方薬は(膨大な情報から素早く整理する)AIがすすめる漢方薬のリストに入らないでしょう。

 

患者さんの状態を詳しく確認して四診もして、五感をフルに使って有効な漢方薬を考える漢方内科は、

 

AIにはない良さがある

 

と言えます。

 

 

 

 


 

 

 

 

■AIに頼っても結局は病名処方になる

 

 

AIはすごいと誰もが感じていると思います。

 

漢方薬の保険での処方は148種類です。

 

自分の症状や病名をAIに伝えて、この148種類の中から効能に書かれているものを判定してもらう時間は数秒程度であっという間でしょう。

 

でもAIは腹診などができないので、結局は病名処方されているのと同じになります。

 

AIは膨大な情報を素早く正確に要約し、膨大な情報から効能に書かれているものを選び出すことが大得意です。

 

つまり症状や病名から処方薬を決める能力は、人より優れているでしょう。

 

でも、

 

漢方診療はAIにはできない四診が必要

 

です。

 

四診なしでも症状から決めた漢方薬が有効なら、それで良いのでしょうか?

 

 

 

 


 

 

 

 

■病名処方でも効けば良いといえるかもしれないが伝統に反する処方方法

 

 

四診なしで効能に書いてある漢方薬を処方してもらい、それが有効であることはもちろんあります。

 

そのような患者さんは漢方内科でなくても、一般内科でも婦人科でも整形外科でも耳鼻科でも皮膚科でも、効能に書いてある漢方薬を調べて処方してもらえば解決します。

 

ただし、これは四診をしない処方方法なので、しつこいくらい説明している病名処方となります。

 

四診をしない病名処方は、古くから言い伝えられている本来の漢方の処方方法ではなく、悪く言えば言い伝えに反した処方方法

 

になってしまいます。

 

そのため、病名処方で簡単に解決するような患者さんの場合でも、

漢方伝統の四診はしてもらった上で処方してもらうことをおすすめします

 

効能に書いてある漢方薬を色々内服してもどれも効かない場合、漢方治療の適応ではないということもありますが、病名処方をしているから有効な漢方薬が導きだせていない可能性もあります。

 

そのような場合は必ず四診が必要で、意外にも効能に書いていない漢方薬で改善することもあるのです。

 

 

 

 


 

 

 

 

■当院がオンライン診療をしない理由

 

 

オンライン診療では、脈診と腹診ができません。

望診は可能ですが、実際の姿と映像の姿は完全に同じでないこともあります。

聞診も可能ですが、実際の声と画面越しの声は違う場合もあり、正確な診断ができない可能性もあります。

 

つまり、実際に患者さんと対面しないと正確な漢方診察ができない可能性があるのです。

 

そのような理由から、漢方診療はオンライン診療ではなく対面診療の方が良いと考えています。

 

遠方から来院してくださる患者さんは通院が大変だと思いますが、丁寧に診察しますのでご了承ください。